「ポエム」を競う

【 -第62回- 2014年3月17日号】


3月12付日経新聞にこんな記事が掲載されていました。

「この聖域は、総てのDESIREを満たす。」

「扉の向こうに、完全なる小宇宙が広がっている。」

都心の高級マンションを形容する華やかなキャッチコピーは、過剰とも思えるほどに情緒あふれたその文体から「マンションポエム」と呼ばれる。
都市の建築物を被写体にしてきた写真家の大山顕氏は、マンションポエムを「建築を隠す言葉」と表現する。

マンションは規格化が進み「都心の2億円の物件も郊外の2000万円台の物件も、建物自体に大きな差はない」(同氏)

実際のところ、価格差のかなりの部分を占めるのは土地代だ。

マンションポエムは、高級感で建築を包むことでその点を曖昧にしている。
買手の側にもポエムを求める事情がある。
どの街に住むかは、自分がどんな人間かを表すという面もある。
マイホームという大きな買い物を前に、自分が暮らすと決めた土地にふさわしい前向きな物語を必要としているのだ。


この記事の通り、売買金額に係らず一般的な室内設備などは、どの物件も大差がありません。
特に室内を自分好みでフルリノベーションする場合は、「どこに住むのか」という視点で住まい探しがスタートします。
もちろん、建物の全体の雰囲気、仕様、管理状況など総合的に考えて最終的に住まい選びが完結します。

まさに最終的に決定した住まいは自分のストーリーの一部となる訳ですから、主役にふさわしい住まいが必要ですよね。

また、私たちも日頃、物件をご紹介する時にこのポエムに近い言葉を使う事があります。
「三拍子揃ったナイスガイ。」
「閑静と情熱の間。」
私たちがポエムを使うのは、主に物件のキャッチコピー。
一言でその物件を理解してもらうために、いろいろと考えていますが、本当に語彙の少なさを日々痛感しています。

そして、厳密に言うと広告で使用する言葉も注意が必要です。
誇大広告になるような言葉や使ってはいけない表現が多々あるのです。

「扉の向こうに、完全なる小宇宙が広がっている。」

このレベルまで到達するには、さらなる修行と少しだけ羞恥心を捨てなくてはいけないようです。



追記・・・・・
2014年当時に比べてポエム化は沈静化しています。
私たちもついつい書いてしまうのですが、「晴れた日には、ベランダから富士山が」というような、何かと富士山を使うような鉄板ワードもあります。

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