【 -第116回- 2016年5月30日号】
当社のサイト「横浜空間」のブログ、「アマンジャンキー」で人生最高の朝食についてこのように書きました。
「私の人生最高の朝食は、15年前のバリ島のホテル、アマンダリでのものです。
朝早く、ガイドにジャングルの中を案内してもらいながらトレッキングをして、ジャングルが終わり、視界が開けたところは、ライステラスが一望できる丘の上。
そこには完璧にテーブルセッティングされた朝食が用意してありました。
丘の上には私と給仕しかいません。
そして、食事が終わると、どこからか車が現れて、ホテルに戻りました。
元々はアマンスタッフに、「外で朝食をとりませんか」と提案されたサービスです。それで、このクオリティーですから。ビックリしました。
もちろん、値段もビックリした記憶があります。
ところが「どんな朝食だったのだろうか」と思い出そうとしたのですが、記憶にありません。
私の人生最高の朝食は「味」ではなく、「ロケーション」で記憶していたようです。
これって実は、結構大事な事なことですよね。
それぞれ記憶に残る部分、残りやすい部分が違う。
私の場合は、朝食までのトレッキングや突然現れたライステラス、そしてそこでの食事が記憶に残った。
味ではなく。
どちらかと言うと、私は味覚より視覚の方が記憶に残りやすいのかもしれない。
では、記憶に残っている「おいしい食事」はあったのだろうか?
ありました。
社会人になってすぐに、北海道・旭川にスキーに行った時、夕食にぶらっと、ちゃんこ鍋屋さんに入り、そこで食べた「ちゃんこ鍋」。
塩味でダシは少し化学調味料が入っているようで、またそれが食欲をそそって。
途中からセーター脱いでTシャツでガッツイテ食べました。
それ以降もその時ほど我を忘れるほど集中して食事をしたことがないくらい、おいしいちゃんこ鍋でした。
そのちゃんこ鍋屋の店構え、内装など記憶にありません。
あるのは味覚の記憶だけです。
その時は視覚より味覚の記憶が残っています。
さて、記憶に残る、残りやすいポイントってあるのだろうか。
私に限って言えば、「サプライズ」だと思います。
ジャングルの中から突然視界が開け、完璧なテーブルセッティングが整っている。
下調べもなく期待もしていない、ぶらっと入ったお店で食べたちゃんこ鍋の味。
「予想をはるかに超える驚き」
そんな時に深く記憶に残る。
「予想を超える驚き」ではなく「予想をはるかに超える驚き」のサプライズが記憶に刻まれる。
これは、仕事をする上でもとても大切だと思うのです。
私の理想のサービスは「サプライズ」を感じてもらえることだとあらためて思ったのです。