孔雀騒動

【 -第63回- 2014年3月31日号】



代々引き継がれてきた畑。
現在の当主がお亡くなりになり莫大な相続税を支払わなくてはならない事となりました。
横浜市のような都市(市街化区域)で農業を行っている場合、行政官庁及び農業委員会に専業の農業を行う申請を行えば、固定資産税等の維持費が相当額軽減されて、都市であっても農業を営むことができます。

ところが、自宅など農業のために使われていない土地については、当然通常通りの税金が課税され、もちろん相続税もバッチリ課税されます。
結局、後継者問題も含めて農業自体を廃業しなくてはならない状況になることがあります。
今回もそのようなケースで畑を売却することとなりました。

以前は畑の片隅でニワトリを飼って卵の販売も行っていましたが、畑の隣接地は全部住宅になってしまい、ニワトリの鳴き声が近隣の皆様に迷惑をかけるということで現在は野菜だけを作っていました。
今となっては使われていないニワトリ小屋の隣に四畳半ほどの鳥小屋があります。
その鳥小屋には孔雀の雄、雌が一羽ずつ飼われていました。
お亡くなりになった前当主に取りいってもらおうと、ある不動産業者がどこからか孔雀を連れてきて、プレゼントしたそうです。

ところが、ある日孔雀小屋の網の隙間から雄の孔雀が外にでて、行方不明になりました。
もし、孔雀が道路脇でたたずんでいたり、電線の上で遠くを眺めている光景を目撃したら、本当にびっくりしますよね。

芸能人を目撃してツイートする以上にすぐに情報が拡散しそうです。

そんな訳で、雄が旅立ってしまい、雌だけを飼っていました。

そこで、今回、畑がなくなるので、孔雀をどうするのか。
かなりな愛情を込めて飼っていた孔雀です。
ある意味相続人の皆様には相続税の支払いと同じくらいの悩み事が発生しました。

そして、孔雀の引取手探しを依頼されました。
知り合いの農家さんを始め、大きな自宅があって鳥を飼っている人など、いろいろと考えましたが、見当たりません。
まあ、当然と言えば当然です。

孔雀を飼っている知り合いがいますか?
普通いませんよね。

そこで、今度は横浜市内にある動物園や公園などで引取ってはもらえないかと、担当部署に連絡しましたが、基本的にペットとして飼っていた動物や鳥などの引取りは無理と言うことです。

もう畑の売却も決まり、引渡日が迫ってきているのに、孔雀の行き先が決まりません。
八方ふさがり状態でした。

遂に、畑の引渡日まで1ヶ月となった時に相続人全員に集まって頂き、「孔雀会議」です。
最終的に相続人の1人が引取る事となったのですが、家に戻り家族に相談したところ、反対されて引取ってもらえなくなりました。

そして、また「孔雀会議」です。
結局、他の相続人の1人が引取ることに決まり、自宅の庭に簡易的な孔雀小屋を作りました。
畑にいる孔雀を新しい小屋に移す時に、孔雀が暴れに暴れ、羽が抜けてしまいました。

先日、孔雀を見に行ったら、小さくなった小屋の中に羽が抜けたスマートな彼女がいました。
季節がらでしょうか、発情期のような鳴き声で鳴いていました。 もうかなり高齢なおばあちゃん孔雀ですが、元気で長生きしてもらいたいものです。




追記・・・・・
新しい小屋に移って、まもなく彼女は亡くなってしまいました。
あらたしい生活環境や移動がストレスになったのかもしれません。
それにしても、小屋から抜け出した雄の孔雀はどこに行ったのでしょうか。
羽を広げた姿が見事な孔雀でした。

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