【 -第37回- 2013年3月4日号】
茶は服のよきように
炭は湯の沸くように
夏は涼しく、冬暖かに
花は野にあるように
降らずとも傘の用意
相客に心せよ
千利休七則
この七則を見ると、心が凛となります。
茶道の根本である、自然体のままに季節感を大切にした「もてなし」と「しつらえ」を基本にした文化に敬服し、この七則を常に忘れないような心持ちで衣裳部屋の設計を専門に行うためのウエブサイト“設えの美学”を開設しました。
http://dressingroom.asia/
以前、セレブ拝見のTV番組で、セレブのバッグや洋服を拝見するために、それらが収納せれている部屋が映った場面を見た時のことです。
雑然と置かれたバック、クリーニングから戻ってきたままで針金のようなハンガーに吊るされた服、そしてクローゼットに収納できずに外にあふれている多くのモノが映っていました。
お気に入りのブランドのバックを買うのを何個か我慢すれば、素敵なドレッシングルームが仕立てられるのに、登場したセレブはバックや洋服、靴を買って満足していたのでしょう。
なんだか、とても残念で淋しい気持ちになった事を覚えています。
なぜ、残念に思ったのかというと「チグハグ」なんですよね。
何百万とするバッグが押入れに、ハイブランドの服が針金のハンガーに掛っているのです。
シャネルのスーツも部屋着と同じように扱える。部屋着を購入する感覚でシャネルのスーツを買える。
だから、私はセレブ。
とんでもない。
上質なモノの扱い方を知らない、なんちゃってセレブです。
好きな物に手を入れながら大切に使う気持ちなどないのでしょう。
普段、人の目にさらされていないところにこそ、気を使うべきなのに。
“上質にはこだわるけど、贅沢は好きではない”
上質と贅沢の違いがわかるあなたのためのドレッシングルームを設える。
自分のスタイルに満ちた部屋を創ってみませんか。
追記・・・・・
現在、「しつらえの美学」サイトは、おすすめの逸品、建築事例などをご紹介するブログにリニューアルしました。
このコラムから7年経過した2020年。
より千利休七則が共感される時代になったと感じています。
見せかけの高級感はカッコ悪い。
自分の嗜好や価値観に根付いたライフスタイルを目指したいものです。