需要と供給

【 -第98回- 2015年9月14日号】




「築30年以上」「木造戸建」「駅徒歩20分」
このような条件の賃貸物件をどう思いますか?

私たち不動産業者から見ると、正直、とても大変(成約しづらい)な物件でした。
2、3年前までは。
従来の感覚で言うと、他の物件を借りることが難しい年配者、生活保護者受給者もしくは、訳ありな人たちが借りるイメージでした。
ところが、今は20、30歳代のおしゃれな人たちからの申込みが増えています。

どうやら、「築30年以上」「木造戸建」「不便さ」が魅力的なようです。
皆さん経年変化による、いわゆる“味”を楽しんだり、自分で内装、インテリアの改造工事を行えることに魅力を感じているのです。

これは、弊社のメイン事業「中古マンションのご購入」人気と同じです。
ありきたりの住宅ではなく、自分だけの、こだわりのある住宅に住みたいのです。

賃貸物件の「築30年以上」「木造戸建」への入居を希望する人たちは、自分達で内装工事も行ってしまい、家具などを作製する人もいます。(賃貸条件にもよりますが)
新品の輝きより、あえてセカンドハンド的な経年感に魅力を感じて、自分でヴィンテージ感を感じられるような塗装をしています。

このような不動産の流れを見ていると、私がこの業界に入った20年前に比べて、お客様の趣味・嗜好が多様化していると同時に世の中の環境も、その多様化に同期化してきていると感じています。

例えば、20年前ならこのような嗜好のお客様がいても、借りた住まいを借主が自分の手で自由に改造工事できる物件がありませんでした。
需要があっても供給がなかったのです。

売買に関しても、中古マンションを自分好みに改造しようとしても管理規約等に縛られて、限定的なリフォーム工事しかできなかったり、改造工事資金を住宅ローンに組込んだリフォームローンもありません。
そもそも、中古マンション購入のための住宅ローンも金融機関が建物価値を低く査定して、融資が難しかったくらいです。

一言で言えば、「時代が変わった」
しかも、「いい方向に変わった」

ネット社会が発達して、今まで少数派意見だと思われていた嗜好にビジネスチャンスがあることがわかった。
もしくは、ネットを使って、少数派意見をビジネスに結びつける。

需要の大きさに関わらず、それがビジネスになっていく。
不動産業界もITの進化によって、作業の効率化、モラルの向上以外にあらたな市場ができました。




追記・・・・・
築年数の古い建物の改装費は、大家さんにとっても大きな悩みでした。
「改装はしたものの、借りてもらえないかもしれない」

そこで、「古さはそのまま、賃借人の感覚で、自ら改装してもらう」
しかも、改装費の一部を大家さんに負担してもらう。
大家さんと賃借人がWIN WINの関係になりました。

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