なんでも屋

【 -第96回- 2015年8月17日号】




先日、85歳、男性一人暮らしのお客様の引越しをお手伝いしました。
必要最低限のものだけ、新たなおすまいに持っていきます。
お仏壇、本棚が2つと本、テレビ、衣類などです。
一見簡単な引越し作業のようですが、現在のおすまいは、もので溢れかえっています。
とにかく、ものを捨てられず、テレビで取材されるレベルのご自宅でした。
今回のお引越しを機に必要最低限のもので暮らす決意をされたのです。

お仏壇や本棚を運ぶにあたっては、まず、玄関までの運搬ルートを確保しなければならない。
かたづけを行ってからの運搬作業です。

引越しにあたって、「なんでも屋」に助っ人をお願いしました。
正確には、助っ人と言うより、メインで働いてもらう予定でお願いしましたけど。
当日、ネットで探した「なんでも屋」から2人が来ました。
経営者らしき50歳代と20歳代の若者です。
「なんでも屋」へは時給での支払いとなります。
予約の時に、主な作業は引越しであることと、時間は3時間をお願いしました。
そして、「なんでも屋」にはお仏壇、本棚が2つと本、テレビ、衣類を運ぶ旨を話しています。

ところが、当日現場に来てみると、想像以上にものが溢れている家。
かたづけを行わない事には、どうにも運べない事がわかってきました。

もう、最初から経営者らしき男は不機嫌です。
「ちょろそうな仕事」
とでも思って来たのでしょうか(笑)
現実は甘くはありません。
お願いする私達も「なんでも屋」にお願いしているのです。
引越しだけなら引越し業者。
かたづけだけならクリーニング業者。
作業の内容がはっきりしないから、
「なんでも屋」へお願いしたのです。
不機嫌で文句を言いながらも、きっちりと仕事はしてもらいます。
時給での支払いですから、時間内はみっちりと仕事をしてもらえるように、こちらもきっちりと段取りを組みました。

それで今回のコラムで何が言いたいかと言うと、
「なんでもやります」「なんでもできます」
と言ってしまった時点で
「なんでもやらされます」
となってしまう可能性があるということです。
仕事を限定すれば、範囲外の仕事に対して断る事も追加料金をお願いする事もできます。
でも、「なんでもできます」
と言ってしまえば、断れません。

限定することはマイナス的な行為のように思われますが、実は自分達にとってプラス的な結果をもたらすことがありますよね。

できる事は「できる」、できない事は「できない」、わからない事は「わからない」とはっきりと伝えた後、「できないから、どうしたらいいのか」「わからないから、調べた後、お伝えします」などの対応が必要になってくる。

あらためて、「なんでもできます」はNGワードだと確信しました。




追記・・・・・
残念ながらお引越し先の新たなおすまいも、ものが溢れてしまいました。
最終的に、老人ホームへ移る際に、産廃業者にほとんどの持ち物を処分してもらいました。
私の不動産人生で、この家の「もの」の有様を超える家はないだろうと思っていたのですが、最近、超えた家に出会ってしまいました。
どこで寝ていたのかわからないほど、ものが高層化されていました。 「何事も上には上がある」と痛感しました。

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