背広と作業着

【 -第99回- 2015年9月28日号】




「不動産と建築設計」という仕事がら、建築現場には頻繁に行きます。
スーツ姿で工事の進捗状況や職人さん達の仕事内容の確認などをしています。

まぁ、私のような存在は、職人さん達からすれば、ひょこっと現場に現れて、見回りに来ているような「うざったい」というか邪魔者のような存在です。
かと言って、発注者や監理者の立場でもあるので、付合い方にも気をつかわれています。

以前にも書いていますが、私の父親は鳶職の親方でした。
小学生の時から現場に連れて行かれて、仕事を手伝わされていました。
現場では午前10時と午後3時に一服(お茶)をします。
一服している時は、発注者やスーツ姿で現場をうろついている人達の噂話で盛上がることが珍しくありません。
勢いのあった不動産会社が倒産した話などは、最高に盛上がります。
まあ、正直、職人さん達にしてみれば、きれいな格好をして、お金儲けをしている連中=スーツ姿でフラフラ現場に現れる。
職人さんたち全員とは言いませんが、自分が職人の立場の時、周りにいた職人さん達は、皆そういう風に思っていたと思います。

私自身の話をすると、ズーット現場で働くのが嫌でしょうがありませんでした。4歳下の弟とは我家に男で生まれた事をなげいたものです。
さすがに、妹は現場に連れて行かれませんでしたから。
高校生頃までは、働くという事自体が嫌でしょうがなかった。
大学生の時には、周りの職人達の無茶苦茶ぶりや、たまに来るスーツ姿のおじさん達の高圧的な態度が気に入らなかった事を覚えています。

だから今、スーツ姿で現場にいった時は、自分なりに態度や言葉使いに気を使っています。
もちろん、仕事に対するお金の支払いについては、最も気をつかいます。
請求の締日、支払い日に関係なく、請求書が届けば、できるかぎり早く支払います。
残念ながら、今でも発注した建物が完成しても、売れないために、支払いを延期したり、最後に金額を値切ったりする発注者もいると聞きます。

実は自分がどんなに気を使って職人さん達と付合っても、職人さん達との距離が縮まらないことはわかっています。
仕事ですから、友達付き合いをする必要もありません。
必要なのは、お互いを認め合う関係になることです。

どの業界でも自分を認めてもらうには、相手に「経験と知識」がある事をわかってもらうことだと思います。




追記・・・・・
しかし、時代と言いますか、いま建築現場に小学生が働いている事などありえません。
もし小学生が働いていたら、警察出動です。
しかし、一輪車で生コンを運んだり、木材を担いだ経験は貴重だったとも思います。
多少の辛いことも、過去の自分と比較したら「まあ、いいか」と思えます、笑。

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