境界がわからない

【 -第198回- 2019年12月21日号】




連日、ワイドショーなどで賑やかに報道されていました、反社会的勢力について今回は書いてみます。

反社会的勢力はいろいろな集団がありますが、一般的にはいわゆる暴力団、ヤクザって言われている集団のことですね。

芸能界は元々が興行ですから、どうしても反社会的勢力(以下、反社と言います)と接触する機会が多くなりますよね。
そもそも、例えば、Vシネマ系に出演する役者は本物以上に本物っぽいと言うか、本物に憧れ、本物からも憧れられている感じがします。

それで、私たち不動産業界も芸能界に負けず劣らず、ちょっと前まで一般的な職業にお勤めの方々より、接触する可能性が高かったと思います。
反社の人たちにとっても、不動産は大きなお金が動くこともありますから、どうしても近づきたくなります。

最初に言っておきますが、現在は一般的な不動産取引をする人や会社に反社的雰囲気はありません。
そもそも、契約時には互いに反社ではなく、付き合いもない旨の書面を交わさないといけません。
法律で厳しく取り締まっています。

私も不動産業界に入ってから20年以上が経つので、この会社は「?」この人は「?」と感じたことがあります。
と言うことで、「?」の浮かぶ境界について書いてみます。

まず、社員が数名いたり事務所も立派なのに、会社のホームページもなく、ググっても何もヒットしない会社は、怖くて取引できません。
これは、反社に関係なくても、ちょっと心配になります。

平成で30年経過し、令和の時代になった現在でウエブ上に痕跡を残さずに営業している自体、不思議を超えて恐怖を感じます。


社長室が立派な会社も要注意だと思っています。
立派で広いともっと注意です。

基本形は社長の机とソファーセットですが、基本形プラス広い社長室に大きな楕円形のテーブルと椅子が置いてある場合があります。
だいたい10名くらいが座れるテーブルです。
もうゴッドファーザーの世界です。

隠れ部屋みたいな社長室に通されたこともありました。
一見しただけでは壁なんですが、扉があって、部屋があるんです。
窓がない部屋なんですよ。もう、怖いですから。

そして、やたらクリスタル系のものが多いのも特徴の一つです。
なぜだかバカラ系の硬そうなガラスが所々に置いてあります。
クリスタルの灰皿とかです。
きっと、いざという時の武器になるんだと想像しています(笑)
ある社長室で赤い座布団に座っているバカラ製クリスタルの招き猫を見たことがあります。
「この猫で頭を殴られたら、イチコロだと寒気がしました」

あと、ラッセン系の絵画を、その界隈の方々は飾るような気がします。
いまどき?
と思う感覚が、逆に圧力を感じさせます。

クリスタルとラッセンは相性がいいのかもしれません。

松方弘樹さんが好きで有名だったマグロフィッシングですが、ある社長も自社所有のボートでマグロを釣る趣味があり、釣ったマグロを剥製にして社長室に飾ってありました。
迫力ありましたね。でっかいマグロでしたから。

また、社長の出入りの際の社員の様子を見ると、なんとなく境界がわかるような気がします。
社長の姿を見ると尋常でないほど、ピリッとしますよね。
ある会社での打合せで、社長との待合せ時間より私が早く到着して待っていて、遅れて社長が現れた時に、事務机に座っていた社員がピーンと勢いよく立ち上がって「お帰りなさい」と挨拶したことがありました。

もう、打合せどころではありません。
早く帰りたくて半ベソ状態でした。

たまに古参の社員が社長のことを酔ったりすると「オヤジ」なんて呼ぶことがあるんですが、「オヤジ」なんて言っているうちは、その世界に憧れているくらいだと思っています。

「オヤジ」より怖いのが「会長」です。

中小企業で会長がいるような会社って、あまりありませんよね。
以前、大きな社長室で打合せをしている時に、社員が入ってきて、社長に何やら耳打ちした後、社長が電話に出て「会長、ご無沙汰しております。申し訳ございません。折返しご連絡します」なんて話した時は、どうしようかと思いました。一体、会長って何の会の会長ですか(笑)

正直なところ、反社に対して憧れをもち、それっぽい装いの人達もいるのでも、外見で本物か本物でないか、判断するのは難しいですよね。
孫子の兵法のごとく、「戦わずして勝つ」と思わせてくれるような、わかりやすい外見や言動をしてくれればいいのですが、一見すると人あたり良さそうに近づいてくる人達がいるから困ります。

そこで、私は「?」と感じたり心配になった時にどうするかと言うと、その人の周りをみます。

本人が反社的な感じがしなくても、周りには匂いが違う人達がいます。
また、家族や地域と根が張っているような安定した生活環境を感じられる事も大切です。
その筋の人達には安定的な雰囲気はありませんから。


最後になりますが、私が思うに、仕事での接触より、夜の街での接触の方がはるかに多い気がします。

境界がわからない昨今、夜の街には、なるべく行かなず、規則正しい生活を送る。
これが一番大切でしょうね。




追記・・・・・
みなさん規則正しい生活を送っていますよね、(笑)
反社の人たちに関わらず、仕事柄さまざまな人にお会いします。

当然、人の数だけドラマがあります。
そんな経験ができることが、住まいに関わる仕事のおもしろさの一つであると思っています。

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