耐えるべきところ

【 -第265回- 2022年4月11日号】





2018年に80歳で他界した父親が夢に現れました。

「オーストラリアのバーでぼったくられた」

父親は、笑顔でぼったくられた話をしていました。
そんな話を聞きながら、「まあ、しょうがないよ。無事でよかった」
などと返事をする私。

目が覚めて、すぐに仏壇に手を合わせました。

いつも笑顔で、人のいい父親でした。
生前は行っても地元のスナック。
バーに行くようなタイプではありませんし、ましてや、外国のバーには行ったことはないはず。
天国では、積極的に動きまわって、ぼったくられていないか心配になりました。

そんな話を母親にしたのですが、ふと父親が入院していた時の出来事を思い出しました。

誤嚥を繰り返し、今後の処置について医院長先生から直々に説明を受けた時のことです。
それまでは、担当の先生しかお会いしたことがなく、医院長先生に会うのははじめてでした。 私の妻は、医院長先生に会ったことがあり、医院長先生に会う前にたずねました。
「どんな先生?」
すると、「四頭身くらいかな」と返ってきました。
ちょっと太っていて、顔が大きいらしいのです。
身体的な特徴ではなく、内面的な雰囲気についてたずねたつもりだったのですが、身体的な特徴が目についてしまったのでしょう。
それにしても、四頭身とは大げさに言ったものです。

それ以上の前情報もないまま、説明の当日、父親の病室にいると、
突然、正真正銘、四頭身の医院長先生が入ってきました。

白衣のポケットに両手を入れながら現れたように記憶しています。
一言で表現すれば、白衣を着たケンケン。
チキチキマシン猛レースのブラック魔王の相棒です。

これから、生死にかかわる大事な説明があるにもかかわらず、想像を超えた「老舗キャラ」が現れたのです。

もう、どうしようもありません。
笑いのスイッチがオンになってしまいました。

父親が、意識すらない状態で寝ている横で、舌を噛みながら、笑いをこらえ、医院長先生からの説明を聞いている息子。

正直なところ、医院長先生からの説明は、ほぼ覚えていません。
後から、一緒にいた妹に聞いたほどです。
少しでもニヤけた表情すらできません。
そんな場面ではないのです。
何がなんでも、耐えるべきところです。

どれだけ強く舌を噛んでいたのでしょうか。
医院長先生が病室から出た後、血の味がしたくらいでした。

医院長先生から説明を受ける前の1ヶ月は、なるべく家族が交代で病室にいたり、自宅で待機して、私も5kg以上痩せてしまいました。
そんな状況で、笑いを堪えなくてはならないことになるのでしょうか。

当時を振り返ってみても、あまりに疲れていて、ほぼ覚えていません。

私の中では、原因は老舗キャラ。
そう思い込んで、トラウマにならないように自己防衛しています。
父親が夢に現れ、思い出しました。




追記・・・・・
みなさんは夢をみるほうですか?
私は起きた時に夢を覚えていることも多く、現実的な夢をみている気がします。
さすがに最近はみませんが、学生の頃は、テストなのに勉強せずに寝てしまい、起床した瞬間に絶望感を感じる夢をよくみたものでした(笑)
夢ではなく現実もそうだったのですが(笑)

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