信じる者は救われるのか

【 -第230回- 2020年11月9日号】





40歳の頃、日々腰痛に悩まされました。
整形外科の先生の診断は腰の椎間板ヘルニア。
4番目と5番目の間の椎間板がつぶれて、神経を圧迫しているとの診断でした。

常に腰を曲げて歩き、立っていても、座っていても痛いのです。
寝る時も横向きにエビのように丸くならないと寝れない。
あまりに横向きで寝過ぎて、ついには両肩も壊してしまいました。

それで、手術をすることになりました。

手術の前に、担当の先生から手術の詳細な説明と起こりうるリスクの説明がありました。
そこで、先生が、
「手術する位置の近くに膀胱のセンサー機能をもつ神経がある」
「万一、その神経が傷ついた場合は、一生オムツをして暮らす」
と超破壊級の説明を真顔でしてくれました。

もし、その神経が傷ついたら、オレ、40歳にしてオムツ…。
オムツで暮らすかどうかを先生の手に委ねる…。

一瞬で腰痛とオムツを天秤にかけました。
そして、出した答えが「先生、手術やめます」

40歳からオムツより、腰痛を選んだのです。

そこからは、迷える子羊、迷走状態に突入です。

腰痛には一家言もっている人がたくさんいます。
多くの人が、整体や針治療、マッサージの先生を紹介してくれました。
私も迷走してましたから、紹介してくれたところには、ほぼ行きました。
おそらく50〜100カ所くらいは行ったと思います。

西洋的と言いますか、医学的には椎間板ヘルニアと判明してします。
つぶれた椎間板が神経を圧迫しているので、痛いのです。
とりあえず、手っ取り早く痛みを和らげるためには、薬を飲むしかありません。
鎮痛剤のロキソニンと胃薬が欠かせません。

それで、東洋的と言いますか、整体や針治療、マッサージでは、腰から脚を揉んだり、針をうって痛みを和らげていきます。
ところが、東洋的な施術が全くと言っていいほど、効かないのです。
本来の気質が疑り深いものですから、つぶれている椎間板付近の筋肉をほぐしたり、針をうったところで治るわけがないと思いながら施術されているのですから、効くわけがありません。

しかし、針は効くかもしれないと思ったことがありました。
横浜駅東口にあった、ある針治療院で治療の最後に目の付近に針をうって、その後、外に出た時に景色の見え方が違うのです。
「片目がまったく見えない」
片目の視力がなくなっているのです。
とにかく、冷静にならなくてはいけないと思い、その場に座り、10分くらいそのままにしていると、視力が回復しました。
「腰痛には効かなかったけど、針おそるべし」
正確に神経に刺激を与えられれば、効くかもしれません。

話を戻します。
ついに、迷える中年は、ハンドパワーで痛みを取り去る究極の先生のところに行きました。
究極の先生は、腰をサッサとなでてから、ハンドパワーで気を送ってくれました。
治療時間は1分ほどでしょうか。
究極の先生が「これで、痛みは徐々に取れてくるはずです」とドヤ顔です。

「そんなわけねーだろう」

「次は壷か数珠を売るんじゃねーだろうな」

腹立たしく思いながら、帰宅したのですが、究極の先生をベタほめで勧めてくれた知人を含めて、待合室には何人もハンドパワーを待っている人がいたのも事実です。

手をかざして、気を送るだけで痛みがとれると思っている人がいるのです。
西洋、東洋、科学的な治療をバカにしたような施術で治ると信じている人がいます。
プレセボ効果ではなく詐欺効果で痛みがとれるのです。

それからもロキソニンを飲みながら過ごしていたのですが、ある夜、知人からNHKの「ためしてガッテン」で腰痛の特集をしていると電話がありました。
すぐに見てみると、「腰痛は思いこみで痛みを感じている人が多い」と、NHKの番組らしくない結論を志の輔師匠が言っていました。

詐欺効果で痛みがとれる人もいる。
思いこみで痛みを感じている人もいる。

と言うことは、反対に思いこむことで痛みがとれるかもしれない。
こうなったら、オレも何かを思いこんでみようと思ったのです。

それで、私の思いこみは「自力で痛みをとる」!
具体的には「ヨガで呼吸を整え、関節、筋肉の可動範囲を広げる」
そして、「ピラティスで体幹を鍛える」

ロキソニンを飲み痛みを和らげながら、不格好なポーズで無理をせずヨガをはじめました。
その後、なんとなく可動範囲が広がってきたことが、自分でもわかってきた頃には、ロキソニンを飲む回数が減ってきました。
次に、室温が高い部屋で行うホットヨガで中級者レベルのヨガレッスンを受けはじめた時には、日常生活で支障があるような痛みを感じなくなりました。
仕上げは、ピラティスで体幹を鍛える。
ピラティスレッスンの後は腰痛ではなく、腹筋の筋肉痛を感じるほどまでに回復しました。
ヨガをはじめてからここまで1年間くらいでした。

正直なところ、手術が必要なレベルの腰痛がとれた原因はわかりません。
どう考えても、思いこみだけで、あの強烈な痛みがとれたとは思えないのです。
しかしながら、結果として手術や施術ではなく、痛みがなくなったのです。

冷静に今思いおこすと、ヨガをはじめた頃に、ほんの少しですが痛みが和らいだことがターニングポイントだったような気がします。
「この方向性で間違いない」と確信できた瞬間です。
それが、より真剣にヨガに取り組んだきっかけになりました。

以上が腰痛からの回復の過程ですが、この件で感じたことは、「信じる者は救われる」と思えたことです。
ただし、他人に頼る他力では救われません。
信じるのは自分です。
そして、きっかけとなる小さな成功があり、小さな成功の積み重ねがあって、結果がでる。

偶然が重なって、痛みがとれただけかもしれませんが、私の小さなサクセスストーリーです。




追記・・・・・
イオンって科学的根拠はありませんよね。
首や手首に巻いているイオン発生のネックレスやブレスレットはお守りみたいなもんですよね。

詐欺ワードですよね。

実母は、近所の自称呉服屋に勧められた謎のイオンブレスレットを首、手首、足首にしながら、血流がよくなったと信じています。
ちなみに首、手首、足首で約100万円の代物です。
最近は、イオンを発生する謎の座布団を買いました。
値段は教えてくれません。
どう見ても100均ショップで売っている座布団です。

今、話題の宗教団体へのお布施問題。
少しだけですが、私も肌で感じています。
信じるって、こわいです。

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