第6回テーマ 【 宮大工との打合せで怖かった話し 】
2021年4月12日 第490号 掲載
弊社では、いろいろな用途の設計を頼まれます。
本格的な伝統工法の寺社茶室の木造となると
工事を依頼するのは宮大工さんとなります。
そして、設計者として宮大工さん探しの選定業務に取り組んでいました。
現在、宮大工さんは仕事が限られていますので
そこらじゅうにいる訳ではありません。
希少な大工さんなんです。
そのような時に、ようやく鎌倉のお寺の山門で仕事をされている方が見つかり
お会いすることになりました。
作業場なども、見せていただきたいのでこちらから
棟梁に会いに鎌倉へ出向いていきました。
そこは、立派なお寺の山門脇にありました。
棟梁の弟子に案内され、席に着くと
テーブルの上には、先程まで庭で咲いてお花を
客人を迎えるために一輪挿しにして置いたことを
すぐに感じとれました。
しばらくすると、棟梁が登場です。
棟梁は大工の中でも一番上の人になります。
この日は、棟梁は風邪を引かれ体調が悪かった様子でしたが
夜ならと、午後7時に伺うことになったのです。
打合せしたお部屋は木造の作業場の隣りでしたが
何かとても静かで、凛とした空間でした。
棟梁とのお話しは、小一時間経ち、
そろそろそれでは次回また
打合せをお願いしますと話しをしたところ
棟梁が、壁に掛かった時計をみて
ぽつりと、、、「見ていきますか」
私、「なにを?」
棟梁、「毎晩8時少しすぎに作業場に出るんです。」
私は、棟梁からの突然の語り口から
それは幽霊、お化けであることをピンと感じました!
そしてそのことは、聞かなかったように
もう8時になりましたので今日は帰ります!と
言って失礼してしまいました。
後日、そのことを棟梁のお弟子さんに
聞いてみたのですが、お弟子さんには見えないけど
自分の背後を幾人かの者が通りすぎていく
気配はわかるというのです。
私、いるんですね!しかも毎晩ですか、怖っ!
ということで、そういう世界もあるらしいです。
信じるか信じないかは別として
今回は、打合せは日中に行いましょう!
という話しでした。
ではまたコラムも日中で、、、