第27回テーマ  【 小さな差位の戦い 】

-2022年2月21日 第532号 掲載-

一般住宅は、その時代を
そのまま映し出され出来あがっていると感じます。

まずは、建物の大きさですが
その時代の敷地の価格に左右され
建売り分譲住宅となれば、その時の金利で
購入価格帯も大きくかわります。

今のように低金利の時には
以前よりも少し高い金額でも
買えてしまいます。

建物の質という観点からは
阪神大震災以降は住宅の基礎に関しては
従前に比べベタ基礎等どこの業者に頼んでも
一定以上のレベルでになり
これは良いことです。

外壁に関しましては、工期短縮や
色打合せも用意なことから一般住宅では
現場に持って来て張るだけの
塗装済みのサイディングが
主流となっております。

工事期間が長いと近隣への騒音や
車両の出入りなど協力が得られないと
難しい場合も多くなります。
作り手側からも工期が短縮できるような
既成品の多くを進められます。

内壁に関しましては、圧倒的にビニールクロス張り
種類が豊富で、お手入れ簡単、なにより工事費の
価格も手頃なことから工事側も施主側も特段こだわりなければ
マンションなどでも、好き嫌い関係なしに
ビニールクロスが標準施工となっています。

上記の様な、既成品メーカーの商品を頼りに
設計し工事するようになると結果として地方の工務店が
農家のリフォームしても、都会の建て売りの外壁でも
同じものになります。

時代を反映した施工者側の都合、施主側や近隣からの
都合でできた、普通の家の出来上がりとなります。

もう少し洗練された家がほしいとなると
ハウスメーカーへ行きオリジナルな
外壁や窓まどの性能の差が謳われます。

わたしどもをはじめ住宅設計を手がける設計事務所ですと
さらに、内外の壁は、自然素材で左官材料で手間と時間をかけて
窓枠や巾木などの枠を消しにシンプルにしたりと
窓の位置や大きさや陽かりの取り入れ方など変えたりと
さらに小さな差位の積み重ねていきます。

このような結果から、完成時に普通とは違う感じられる空間を
提案できるように日々戦っております。

設計事務所に依頼される方は、是非この小さな差位ではありますが
設計者や建築会社が、どれくらいの提案力があるか
一緒に楽しめる方、是非お声掛けください。