第31回テーマ  【 木製室内建具の今昔 】

-2022年4月18日 第540号 掲載-

住まいの中で、特に既成品に移行したモノとして
ドアや引戸など、部屋を間仕切り出入りするための
木製建具が大きく変化したと思います。

そこには、日本の高温多湿な四季が
木製の建具にもたらす影響があるからです。

明日が雨なら、玄関ドアや雨戸が重くなったり
古くなると閉まらなかったりと
お引渡し後の調整も、工務店さんには
つきものでした。

木製建具は、大工さんではなく
建具屋さんという職人さんがいて
カンナで建具を削り調整しながら
取付おこなっていました。
そして吊り込みが完了すると
次は塗装屋さんにより
表面の仕上げとなります。

ドアひとつでも、取っ手の色や種類
ドアの重さにより吊り下げる蝶番の
大きさや数に色、そして鍵など
ことこまかに決めていました。

時代が変わり、工事のスピード、
そして、完成後のメンテナンスを
できるだけ 伴わない手離れの良さは
使う側も、作る側も、本物の木質より
安定した既成品に折り合いがついてしまった。

この同一ファミレス品質にも似た
既成品の建具は、工場で木目模様の
シートが貼られ、取付金物も建具を
削ることなく自由に調整できるものが
組込まれ、それらは建具屋さんではなく
現場の大工さんが取付すれば完了です。

このように、実は街に出来ている
建物の多くが、その時代を
色濃く反映されている気がします。

時折り、古道具屋に置かれていた
丹精込めて作られた格子の建具など
見つけた時には、少し手を入れ
新築やリノベーションにも使用すると
とても、しっくりと落ち着いた空間に
なりますので、お試しあれ。